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更新:2014/12/08

【レビュー】水冷CPUクーラー
CoolerMaster Nepton 140XL について

概要

Cooler Master (クーラーマスター) のNepton 140XLは、ラジエーターを14cmファンを2つで挟んだ構造の水冷式のCPUクーラーです。

簡易水冷式でポンプとラジエーターがパイプで繋がった一体型となっておりメンテナンス不要で、PCケース内部に簡単に取り付けることができます。

・メーカーサイト
CoolerMaster水冷NeptonシリーズNepton 140XL

Nepton 140XLでは大風量のJetFlo 14cmファンを採用しており、ラジエーターを2つのファンで挟み込むことで強力に冷却とPC内部の熱を排気します。PCケースへの取り付けは14cmファン1カ所での接続となります。

14cmファンでラジエーターを挟み込む形状のNepton 140XLの他に、14cmファンを2列に並べてラジエーターが広がったことで冷却水が冷めやすいNepton 280Lも発売中。Nepton 140XLは14cmファンの取り付け箇所が1つのみ、Nepton 280Lは14cmファンの取り付け位置が2つ並ぶPCケースへの接続となります。

Nepton 140XL の パッケージ

Nepton 140XL package1Nepton 140XL package2

Nepton 140XL package3Nepton 140XL package4

Nepton 140XL package5Nepton 140XL package6

スペック

Nepton 140XL Spec

対応しているCPUソケットは、
Intel LGA 2011-3 / 2011 / 1366 / 1150 / 1156 / 1155 / 775
AMD Socket FM2 / FM1 / AM3+ / AM3 / AM2

140mmの25mm厚のファンが2基。ラジエーターを挟み込んでPCケースに固定します。
簡易水冷式はファンを付けたラジエーターをPCケースの排気ファンの代わりに取り付けるのが一般的です。
このファンは1基をPCケースの外側に出して固定することもできます。

ラジエーターのファンの取り付け穴は付属の14cm用の他に12cmファンも取り付けが可能ですが、ラジエーターの大きさがPCケースや周辺パーツに干渉しやすいことに注意が必要です。

Nepton 140XL pump

CPUとの接触面には銅が使われており、内部は効率よくを熱が移動する構造に設計されています。
表面がザラザラしていますが付属のグリスで十分に熱が伝わっているので問題はありません。

ポンプの音は25dBA以下でキュイーーンという高回転の音が響きますがファンノイズに埋もれてしまうので耳を近づけなければ気になりません。

銅板はUltraFineマイクロチャンネル水冷ヘッドとなっており、内部のフィンのピッチ間隔が狭いことでCPUの熱が冷却水に移動しやすい構造です。

ポンプとラジエーターの接続にはFEP素材のチューブが使われています。丈夫で曲げに強く、捻っても水流が低下しにくい作りとなっています。また液体の自然蒸発が少なく長期にわたり劣化しにくいのが特徴です。

取り付けについて

ファンの取り付け

ファンには取り付け用の穴の4カ所両面に衝撃吸収ラバーパッドが付いており、ファンの接触による震動を防ぎます。

Nepton 140XL ファンのラバーパッド

Nepton 140XL ファンとラジエーターNepton 140XL ファンを固定するねじ

ファン固定用の長いネジは少し短いのが8本、少し長いのが4本付属しています。PCケース-ファン-ラジエーターを直接止める場合は少し長いネジを使います。

Nepton 140XL ファンを固定するねじ2

ファン固定用の長いネジには別のネジを止めるためのねじ穴があります。ファンをラジーエーターと長いネジで止めた後に短いネジでPCケースに固定することもできます。

付属のJetFlo 14cmファンは最大2000rpmの大風量のファンです。

とても強力なファンであるため、PWMで回転数を制御して使います。通常は50%で十分で、高回転では高い熱が発生するCPUのオーバークロックだけでなく、複数のビデオカードを搭載した場合にPCケースに籠もってしまう熱の排気にも強力に作用します。

CPUクーラーの取り付け

付属のバックプレートはIntelとAMD両対応の設計になっています。Intel製CPUの場合はIntelの文字が外向きになるようにネジをはめ込みます。

Nepton 140XL バックプレートのネジNepton 140XL バックプレートのねじ穴を合わせる溝Nepton 140XL バックプレートの組み立てNepton 140XL バックプレートの裏側
ネジを止める黒いカバーは、斜め上からマークの付いている側から差し込むのが取り付けのポイントです。横から真っ直ぐ差し込もうとすると簡単には入りません。取り付けるCPUソケットの種類によって爪をスライドさせて止める位置(マザーボードの穴の位置に対応)が異なります。ここではLGA775ソケットなので一番内側の溝に合わせています。マザーボードに直に接するのはこの黒いカバーの部分になります。

Nepton 140XL バックプレートの固定方法1Nepton 140XL バックプレートの固定方法2
マザーボードを挟まずに組み立てるとバックプレートとポンプ部の取り付けはこのようになります。

Nepton 140XL ポンプ部のねじ穴1Nepton 140XL ポンプ部のねじ穴2ポンプ部にソケット形状に合わせたネジ位置のプレートを取り付けます。

マザーボードのCPUソケットの裏側Nepton 140XL マザーボードにバックプレートの取り付け

マザーボードの裏側からCPUクーラーの取り付け穴にバックプレートのねじを差し込みます。

Nepton 140XL ポンプを差し込むねじとCPUのグリスNepton 140XL 銅板の保護シールを剥がす

バックプレートのネジに黒いパイプを入れて、CPUにグリスを乗せて、ポンプの銅板のシールを剥がしてねじ穴を合わせてポンプを乗せてネジで止めます。

Nepton 140XL ポンプをCPUに取り付け

ネジを締めた方向に傾くので均等に対角線に少しずつ締めていきます。

Nepton 140XLの重さ
重さは、ファン2つとポンプのネジを付けた状態で1318.5g。
バックプレートでしっかりネジ止めできるのと、ラジエーターとファンはPCケースに直接固定するので重さによるマザーボードへの負担を気にする必要はありません。

Nepton 140XL ポンプ部のライト点灯
動作時はロゴの周りが白く輝きます。

Nepton 140XL 2つのファンを1つに接続するケーブル

ファン2基を同時に制御するために付属の二股ケーブルを使います。ポンプとファンの電源ケーブルはポンプをマザーボードのCPU_FAN(ファン接続端子の表記はマザーボードにより異なります)コネクタに接続して、ケースファンは付属の2股ケーブルで1本にしてマザーボードのCPU-OPT_FANかCASE_FANコネクタに接続します。

CPUクーラーの比較

ここではバラックでLGA775のCore2Quadで温度の比較をします。バラックは外カバーの無いオープンベンチ台です。

CPUクーラーはIntel標準グランド鎌クロスとCoolerMaster Nepton 140XLとの比較です。

Nepton 140XLとバラックで検証Nepton 140XLの取り付け
Nepton 140XLのファンは紐で固定。
グランド鎌クロスを取り付けた場合LGA775用のIntel標準のCPUクーラー
左は Scythe グランド鎌クロス。トップフロー式の空冷で大型ヒートシンクに14cmファンが搭載。 CPU周辺にも風を当てて熱を飛ばします。
右は Intel標準のCPUクーラー。定格で正常に動作できるだけの最低限の冷却能力です。

冷却性能の比較

Core2Quad Q9650 4core 3.0GHzを定格とオーバクークロックの3.5GHzで動作してるときのCPU温度を比較します。

温度の変化を見るために、Prime95の負荷テスト「Small FFTs」を5分間動作させています。 最低温度はPrime95を実行する前の温度です。

Core #0はCPUコアの内部温度、CPU温度はマザーボードのセンサーの温度となります。

CPUクロック CPUクーラー ファン回転率 気温 Core #0 温度 CPU温度
3.0GHz Intel標準 100% 21.5℃ 33.0 - 70.0℃ 22.0 - 58.0℃
グランド鎌クロス 100% 21.9℃ 30.0 - 53.0℃ 19.0 - 41.0℃
50% 21.9℃ 32.0 - 62.0℃ 25.0 - 50.0℃
Nepton140XL 100% 22.1℃ 27.0 - 46.0℃ 17.0 - 34.0℃
50% 22.1℃ 27.0 - 47.0℃ 17.0 - 36.0℃
0%停止 22.5℃ 34.0 - 62.0℃ 23.0 - 49.0℃
3.5GHz グランド鎌クロス 100% 22.4℃ 31.0 - 57.0℃ 22.0 - 45.0℃
50% 22.6℃ 33.0 - 67.0℃ 22.0 - 55.0℃
Nepton140XL 100% 22.3℃ 28.0 - 49.0℃ 18.0 - 37.0℃
50% 22.3℃ 29.0 - 50.0℃ 18.0 - 39.0℃
0%停止 22.4℃ 31.0 - 63.0℃ 20.0 - 51.0℃

 

測定はHardwareMonitor PROでCPU情報を取得しています。
Hardware Monitor PRO Nepton 120XL Prime95実行後

左は定格でNepton 140XL ファン100%時。右は3.5GHzでNepton 140XL ファン100%時。
ファン2と3は回転数が表示されていますが実際には存在していません。ファン0はポンプの接続、ファン1がJetFlo 14cmが2基の接続となっています。

Core2 Quad Q9650 3.0GHzの温度変化


Intel標準CPUクーラー。45℃まで一気に上昇して70℃まで緩やかに上昇。
グランド鎌クロス。45℃まで一気に上昇して52℃まで徐々に上昇。



Nepton 140XL。42℃まで一気に上昇してその後はゆっくり上昇。終了後は30℃まで一気に下降。
Nepton 140XLのファン回転50%。この程度のCPU熱では100%回転時とほとんど変わらない冷却能力です。



Nepton 140XLのファン停止の場合。50℃まで一気に上昇してその後も徐々に上昇。
冷却水が冷却されず熱がどこまでも蓄積されていっています。
終了後も熱が残り45℃の温水状態です。

Core2 Quad Q6600 OC3.5GHzの温度変化


グランド鎌クロス。50℃まで一気に上昇して55℃まで徐々に上昇。
Nepton 140XL。44℃まで一気に上昇してその後はゆっくり上昇し48℃で安定。終了後は32℃まで一気に下降。

 


Nepton 140XL ファン回転50%。45℃まで一気に上昇して50℃で安定。終了後は35℃まで一気に下降して徐々に冷却。
Nepton 140XL ファン停止の場合。48℃まで一気に上昇してその後も徐々に上昇。終了後も冷却不十分で46℃の温水となってしまい、それ以上冷えなくなっています。

筆者の感想

ファンの能力がとても高く、最大回転時は強力な風と共に騒音もとても大きいですがCPUの冷却は音が静かな50%回転でも十分です。この大風量はエアコンの無い部屋でPCケース内の熱を強力に排気するのにも役立ち、夏でも性能を下げずに十分な冷却が期待できます。

ファンは12cmの物も取り付け可能ですが、ラジエーターの大きさが14cmあるので取り付けるPCケースを選ぶことに注意してください。

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