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更新:2013/07/01

グラボの選び方

概要

グラボ/グラフィックボード/ビデオカードは同じ意味です。

グラフィックボードはパソコンの映像処理を行い、モニターに映像を出力する拡張カードの一種です。
電力や大きさなど設計に余裕があるため、高い性能の映像処理にはこちらが主流です。

GPU映像処理を行うコア部分です。グラフィックボードの場合は、GPU、ビデオメモリ(VRAM)、冷却用クーラー、モニター出力用端子が繋がっています。

CPU内蔵のGPUではGPUコアはCPUに含まれています。ビデオメモリはシステムメモリを借用し、モニター出力端子はマザーボードに取り付けられています。
グラフィックボードを搭載せずに映像出力ができるため、低価格PCではこちらが主流です。

チップセットに内蔵のGPUではチップセット(CPUとは別の周辺を制御する部分)に含まれています。
こちらは現在はCPU内蔵に置き換わっています。

使えるグラボの選び方

PCの種類で選ぶ

ノートPC

ノートPCでは電力、冷却、形状、等を一体化して設計しているため、基本的にユーザーによるグラフィックボードの交換はできません

ここから先はデスクトップPCを前提としての説明になります。

デスクトップPC

デスクトップPCではグラフィックボード接続用のソケットに接続します。

CPU内蔵GPUやチップセット内蔵GPUを搭載している場合は、グラフィックボード接続用のソケットには何も接続されていない場合があります。

既に取り付けられている場合は、それを外して交換することになります。

接続ソケットの種類

PCI-Express

現在主流の拡張ソケットはPCI-Expressと呼ばれる種類です。

PCI-Expressではデータの通信の帯域と形状の種類はレーン数で表しています。

グラフィックボードはPCI-Express x16(16レーン)に接続します。

グラフィックボード接続用のソケットは、SLIやCrossFireの複数接続の為に、帯域はx8やx4に低下する場合でも形状はx16になっています。

通常はx16の一番上のソケットに接続します。


ASUS SABERTOOTH Z77の場合、写真は一番上がPCI-E x1、2番目がPCI-E x16(1枚目のビデオカード用)。4番目もPCI-E x16の形状ですが、ここを使うと2番目のPCI-E x16がx8に制限されて、2番目と4番目合わせてx16の帯域になります。

AGP

AGPはPCI-Expressよりも古い規格のグラフィックボード接続用ソケットです。規格も形状も異なるため、古いAGPのグラフィックボードをPCI-Express接続で使うことはできません。

PCI

PCI-Expressよりも古い規格の一般用の拡張ソケットです。現在はPCI-Express x1/x4に置き換わっています。こちらもPCI-Expressとの互換性はありません。

グラボを形状で選ぶ

取り付けできる形状はPCケースに依存します。

1段ソケット

GPUクーラーを抜きにすると拡張カードは1段分のスペースに収まります。

GPUクーラー込みで1段にするにはGPUクーラーの厚みが薄くなります。

2段ソケット

現在主流の形状です。厚みのあるGPUクーラーを使い、しっかりと冷却します。

プラス1段の空間

ファンが吸排気するために、更に風の通り道を1段分空けるのが、熱によるトラブルを防ぐことに繋がります。

他の拡張カードを直下に接続する場合や、複数のグラフィックボードを搭載する場合には、拡張カードの隙間を冷却するために、PCケースの冷却構造が重要になります。

ロープロファイル

省スペースPCでは、幅が短いロープロファイルの形状で無いと取り付けができない物があります。

ロープロファイルに対応しているグラフィックボードは必然的に性能が低い物に限られてしまいます。

ロープロファイル専用で販売されているグラフィックボードは、通常のブラケットが付属していないため、通常のPCケースでは取り付けができません。ロープロファイル対応の場合は両方のブラケットが付属しており、ブラケットを付け替えることで対応しています。

長さによる制限

PCケースの奥行きと内部配置によっては、性能の高いグラフィックボードは長さが干渉してしまい、取り付けができない場合があります。

グラボを使える電力で選ぶ

PCI-Expressではソケットから最大75Wの電力供給が可能です。それを超える電力はPC電源から直接ケーブルで繋げる必要があります。


この場合の電源コネクタは8ピン+8ピンです。

グラフィックボードの接続専用の電源コネクタはPCI-E6ピンと8ピンがあります。グラフィックボードが必要とする電力により複数組み合わせて接続します。

PCI-E 8ピンコネクタは、6ピン+2ピンで分割されて、6ピンとしても8ピンとしても使えるようになっていることがあります。8ピンとして使う場合は端子を揃えて差し込みます。

PC電源の種類によっては、必要な電源ケーブルのみ電源に接続するモジュラー接続のタイプがあります。

 

グラフィックボードに、4ピンペリフェラル電源コネクタをPCI-E電源コネクタに変換するケーブルが付属することがありますが、なるべく使わないでください。PCI-E6ピンは最大75W、8ピンは最大150Wの電力を供給します。他の機器を接続している系統に変換コネクタで接続してしまうと、その系統の電力不足に陥る可能性があります。

電源から直接PCI-E接続がケーブルが伸びている場合は、コネクタの数だけ繋いでも、PC電源が正常であるならば、その系統の電力不足には問題が起きません。

現在接続されているグラフィックボードに補助電源なしのモデルが使われていても、電源ケーブルにPCI-E6ピンが2つあれば、PCI-E6ピンが2つ必要なグラフィックボードを使えるということです。これは、シンプルな構成ではほぼ問題ありませんが、電力が大きな機器を他に多く接続している場合は、全体の容量が足りなくなる場合があります。

また、質の悪い電源の場合は、容量計算では問題なくても、電力が不安定となり問題が生じる場合があります。PC電源は電力に余裕のある使い方をしても、季節変化などでも自然に劣化してしまうため、気になるならばPC電源も取り替えると良いでしょう。

グラボの騒音

グラフィックボードの騒音はGPUクーラーのファンによるものです。

他に、コンデンサーやコイルなどから高周波音(コイル鳴き)が発生する場合もありますが、通常はファンの音にかき消されてしまうので気になりません。高周波音は個人差により聞こえ方が大きく異なります。

ファンは小さいと高音寄りになります。高音はケース内部で反射しやすく、密閉性が高い場合は外ではあまり目立ちませんが、密閉性が低い場合は目立った音になります。

ファンは大きさや形状だけで無く、軸受けの精度によってファン自体の音が発生します。風切り音は低音でもここの音は高音で目立つことがあります。

薄型ファン搭載

1段ソケット用のグラフィックボードでは、熱を吸い取るヒートシンクの容量と、ファンの大きさが制限されてしまいます。

冷却が弱いために、ファンの回転数は高くなり、騒音が目立ちやすくなります。

薄く小さなファンは、アイドル時でも「シャー」、負荷時には「ザー」という目立った音になります。

大型静音ファン搭載

2段仕様により、容量の大きなヒートシンクと大きなファンが組み合わされています。

負荷の低いアイドル時はほとんど気にならない音で、通常の負荷時も「サー」程度です。最大回転時には「ブォー」と目立った音になります。

2連ファン搭載

カード長全体にヒートシンクを被せて、2つのファンで冷却します。GPUの他に、コンデンサーやビデオメモリもしっかりと冷却されるので熱によるトラブルが起きにくい安心の設計です。

薄型ファンを2基搭載なのか、大型静音ファンを2基搭載なのかで異なります。1基よりも2基の方が冷却しやすく回転数が下がるためため音は静かになります。

3連ファン搭載

2連ファンの場合と同様です。全長が長いグラフィックボードの全体に風をあてることができます。

ファンなし静音

ヒートシンクに熱を拡散させ、そこからは自然冷却に委ねます。

ヒートシンク周辺の空気が滞っていると、ヒートシンクが冷却されずに熱量が限界にになり、熱暴走が起こります。

必ずPCケース内部の風の流れを考慮した上で使う必要があります。

基板の裏側にも厚みのあるヒートシンクが回り込んで冷却する構造の場合、グラフィックボードの上側の空間も考慮する必要があります。

グラボの目的での選び方

ゲームで選ぶグラボ

グラボを選ぶ動機で一番多いのが本格ゲームを快適に楽しみたい!

ゲーム向けに性能が高いグラフィックボードを選びましょう。

GeForceが良いかRadeonが良いかはその時期の世代により変わります。一般的なゲームではGeForceが安心です。

動画で選ぶビデオカード

動画再生

CPUの性能不足で高解像度ビデオの再生がスムーズでは無い場合は、最新の動画再生支援機能を持つビデオカードを使います。

性能自体は低くくても構いませんが、ビデオメモリ不足による性能低下を防ぐために、1GBのVRAM搭載モデルがおすすめです。

インターネットでのストリーミング動画の場合は、インターネットの回線等の影響を受けます。この場合はビデオカードを変えても効果はありません。

動画編集とかき出し

動画編集ソフトや動画変換ソフトがCUDAに対応している場合はCUDA性能が高いGeForceを選びます。

CPU性能が十分に高い場合はCUDAの恩恵が得られない場合があります。CPUの性能が十分に高い場合はビデオカードの性能もそれに合わせて性能が高いものを組み合わせる必要があります。

変換ソフトの種類や設定によっては、CPUのみで変換するよりも画質が悪くなることがあります。例えば、Intel HD4000のQSVは変換は高速ですがGeForceのCUDAよりも画質が劣ります。CPUのみでの処理とCUDAではほとんど違いは分かりません。

参考に、変換速度の違い。変換元の動画と設定は同じです。
ソフト TMPGEnc Video Mastering Works 5を使用して出力に掛かった時間です。
CPU Corei7-3770K 560秒
 CUDA GeForce GTX 640 520秒
 CUDA GeFoce GTX 670 385秒
 QSV Intel HD4000(Corei7-3770Kに内蔵されているGPU) 451秒

CPU Core2 Quad Q9650 1275秒
 CUDA GeForce GTX 640 1155秒
 CUDA GeFoce GTX 670 515秒

写真やイラストに使いたい

PhotoshopなどGeForceのCUDAに対応したソフトがあります。複数のファイルやレイヤーを連続して処理する場合に恩恵があります。

デジタル接続ではビデオカードの画質の違いは無視して構いません。画質の調整はモニター側で行います。

画質が一番良いのがDisplayPort接続です。接続するモニターとビデオカードがDisplayPortの信号を生かす設計になっていないと意味がありません。

一般的にはDVI-D接続です。ビデオカードのDVI端子はDVI-Iですが、デジタル接続の場合はモニターとはDVI-Dケーブル(DVIデジタルケーブル)で接続します。

HDMIはAV機器の接続に最適化されている規格です。PCの場合はHDMIで接続すると解像度などに制限が生じる場合があります。

Radeonの場合、HDMI接続は表示がおかしい場合がありますが、ドライバの設定を変更することで正しく表示することができます。

アナログのD-Sub15ピンはDVI-Iとの変換ケーブルで接続することができます。アナログの場合は画質が大幅に悪くなります。

マルチモニターで使いたい

GeForce GTX600シリーズは最大4画面出力に対応しています。ゲーム画面を広げる場合は3画面までの対応になります。その場合でも4画面目には増設されたデスクトップ画面として表示することができます。

Radeon HD5000シリーズでは最大3画面出力または最大6画面出力に対応しています。仕様上の制限により、3台目以降はDisplayPortでの接続が必要です。

レースゲームやFPSゲームでの視野の拡大に。
ゲームプレイ画面と、ブラウザでの攻略サイトの表示やSkypeでの連絡などの表示に。
株やFXなど金融取引でニュースやチャートなど複数ウインドーの同時表示に。
イラストや写真編集での作業用の画面と確認用の画面に。

グラボを性能で選ぶ

目的や使えるグラフィックボードが決まってから、性能で選びます。性能は予算との兼ね合いになります。

基本的に同じランクであれば、新しい世代の性能が高く、消費電力も下がっています。

新しい世代はGeForce 500から600、Radeon HD6000から7000を意味しますが、世代により、前世代とは設計を新しくしたものと、前世代の設計で性能を高めたものがあります。前者では大幅性能向上と消費電力の低下が起こりますが、後者では小さな性能向上と消費電力の増加があります。

同じランクというのはGeForce GTX660とGTX760、Radeon HD 6850と7850という関係です。これらは基本的に、同じ価格での販売を意味します。

設計はそのままに、動作クロックを高く調整したオーバークロックモデル(OC)があります。グラフィックボードのオーバークロックモデルはユーザーが設定を変えてしまうのでは無く、性能が高く調整されて販売されるモデルなので使う上で何も問題はありません。ただし、通常のモデルよりも性能を高くした分、消費電力と発熱が高くなっています。

オーバークロックモデルはリファレンス設計よりも性能が高くなっていますが、上のランクの性能には届かないのが一般的です。オーバークロックは動作クロックが高くなるだけで、メモリ帯域やコア数が増えるわけではありません。

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