パソコンの電源はAC100V(日本の場合)をPCの動作に必要な電圧に変換(DC +12V/+5V/+3.3V等)して供給するものです。
モデルにより、総ワット数、各電圧の最大出力、入力電圧の範囲、変換効率、ファンと冷却性能、ケーブルコネクタ、コンデンサーなど部品の品質が異なります。

大きなファンが搭載された一般的な電源。ファンが大きいと回転数が低くても風力が確保でき、音が静かになります。静音と冷却のバランスの良い方法です。
現在販売されている電源は回転数自動調整の静音ファンが一般的です。電源による騒音よりもCPUファンやビデオカードなどの他の騒音が大きいです。
電源は温度が高くなるほどファンの回転数が増えて騒音が大きくなります。特に、電源がCPUの熱を吸い上げる構造ではより目立ってしまいます。また、その場合は電源以外の熱による電源の寿命低下にも影響します。
CPUの発熱が大きい場合は電源を下部に配置し、CPUの熱は電源を通さずに排気される構造が好ましいと言えます。電源を下部に配置するにはそのような設計のPCケースを使う必要があります。
電源は電気を作り替えるのに出力が高すぎても低すぎても効率が低下してしまいます。総容量の20〜80%で動作するのが望ましいです。これは600Wの電源では120〜480Wの出力が目安となります。80%を超えて長く動作する場合は電源の寿命低下にも影響するので少し余裕をもって選びましょう。
電源の出力にはピーク表記と定格表記があります。電源を選ぶときに重視するのは定格出力です。定格出力とは連続して出力できる電力で、ピーク出力はPCが起動するときに同時にすべての機器が動作することで一時的に発生する大きな電力(30秒間や60秒間の最大電力)を賄うためのものです。ピーク出力はほとんど気にする必要はありません。
大きな電力を必要とするのは主に+12Vです。依って、容量の大きな電力は単純に+12Vの出力を増やしていったものが大半です。
消費電力が高くないCPUとビデオカードに補助電源を必要としない場合は400Wが目安となります。アイドル時に80Wで負荷の高い処理を実行しているときに320Wが総容量の20〜80%の範囲となります。Core i7-900やCore2 Quad QXなど消費電力の高いCPUを組み合わせる場合は+100Wを上乗せし、高性能なビデオカーには+200Wを上乗せすると安心です。
多くの構成が600Wの電源で賄えます。
2枚のビデオカードによるSLIやCrossFireでは700W〜800W(内ビデオカードの最大電力が400〜500W)、3枚のビデオカードによる3-WAY SLIやCrossFireXと2GPUの2枚構成によるQuad-SLIやCrossFireXでは1000W(内(ビデオカードの最大電力が600W)の電源が推奨されます。
参考として、TDP95WのCore2 Quad Q6600にRadeon HD4850(VAPOR-X GDDR3-1GB)にHDD4本搭載して、アイドル時 148W、3Dゲーム ラストレムナントのベンチマーク実行で 265Wでした。これは、CPUやビデオカードが同時に最大電力を使っていない状態です。
総容量はすべての電圧の出力を表しています。実際に使われるのは各電圧ごとに異なります。
ビデオカードとCPUでは+12Vを使いますので、+12Vの出力を大きくしています。HDDでは+3.3Vや+5Vを使う物も多いですので、総容量を大きい電源に取り替えても電力不足になってしまうことがあります。ものによっては、容量の少ない電源よりも+12V以外は少なくなっていることがありますので、HDDをたくさん搭載したい場合などは注意が必要です。
CPUやグラフィックボードなど消費電力が大きなパーツは+12Vをたくさん必要とします。特に、消費電力が高い性能重視のCPUや補助電源コネクタを必要とするグラフィックボードの搭載です。
+12Vが+12V1/+12V2/+12V3 というように、複数の系統に分かれている場合があります。これはケーブルによってCPU補助電源、ビデオカード、その他の機器といったように出力が分かれています。この場合、CPUが必要とする電力量が少なくても、空いた分をビデオカードに回すことができません。
また、メーカーやモデルにより、+12Vが複数系統に分かれていても、スイッチ(コンバインモード)により複数の+12V系統を1つの+12Vに統合して出力ができる電源もあります。例えば、+12V1とV2ともに20Aづつに分かれており、V1(20A)に13AでV2(20A)に22A欲しい場合はコンバインモードがあれば40Aの+12Vとして13Aと22Aの合計36Aとして使うことができます。

CoolerMasterのREAL 450Wの電源です。+12Vは2系統で264Wまで。さらに、+12V1は12A、+12V2は10Aの出力となります。+3.3Vと+5Vを合わせて191Wまで使うことができます。PCI-E補助電源コネクタはなく、必要があれば+12V2の10Aの中のケーブルから変換(4ピン ペリフェラル→6ピン PCI-E)して使うことになります。

AntecのSG-850ですが、+12Vは4系統合わせて最大65A(780W)まで。+12Vは4系統に分かれており、20Aと25Aの2種類あります。SG-850ではビデオカード(PCI-E補助電源コネクタ)が25AのV3(本体 PCI-E 6+2ピン、着脱 6ピン)とV4(V3と同じ)が割り当てられており、PCI-E8+6のSLIやCrossFireで使うこともできます。しかし、+3.3Vと+5Vはどちらも最大25A使うことができますが、両方合わせて最大160Wまでの出力です。

黒い6つの穴がビデオカードのPCI-E6ピンの接続場所です。消費電力が大きい物では6ピンが2つや6ピンと8ピンの2つがあります。6ピンは1つが最大75W(+12V 6.25A)の電力を通すことができます。8ピンは1つが最大150W(+12V 12.5A)の電力を通すことができます。現在のところ消費電力が大きくても1枚のビデオカードでは6ピン+8ピンなので、1系統の+12Vに1枚のビデオカードを接続する構造の場合は、19Aの出力で十分と言うことになります。SG850の1系統が最大25Aというのは8ピン+8ピンの接続が可能で、かなり余裕のある設計です。
SG850の場合は本体から出ているケーブルがPCI-E6+2(6ピンとしても8ピンとしても使える)が2本あり、それぞれ+12V3とV4だと思われますが、1枚のビデオカードにV3の6ピンとV4の6ピンを接続しても問題はありません。その場合、着脱式のPCI-Eケーブルは電源に差し込む必要がありません。
搭載機器では+3.3Vを使わない機器が増えてきました。新しいHDDの搭載等であれば+3.3Vの容量はほとんど気にする必要はありません。
SATAの電源コネクタは+12V、+5V、+3.3Vの電気を通しますが、ほとんどの接続機器(HDDやDVDドライブ)では+12Vと+5Vしか使われていません。
スリープ機能を活用するには、電源断でも電力を供給する+5VSBが重要になります。
特に接続しているUSB機器が多いと、+5VSBの電力不足により復帰後にUSB機器が認識されなくなる場合があります。スリープ機能を活用してのTV録画などもこの電力により録画時間にパソコンが自動起動するようにできています。
80PLUSの認証では電源の出力容量と出力に変換するために使われた電力を調べて、効率の高い電源が取得することができます。
PC電源はコンセントの電気からPC内部で使うための電気を作っています。効率が悪くなると電源自体の消費電力が大きくなり、無駄な電力は熱源にもなります。効率の高い電源では無駄な消費電力が少なくなり、発熱も少なくなります。
| 負荷率 | 80PLUS |
80PLUS BRONZE |
80PLUS SILVER |
80PLUS GOLD |
|---|---|---|---|---|
| 20% | 80% | 82% | 85% | 87% |
| 50% | 80% | 85% | 88% | 90% |
| 100% | 80% | 82% | 85% | 87% |
80PLUS BRONZE以上では、出力50%の時の効率がとても高くなっています。
80PLUSは効率を表したものであり、電源の品質の善し悪しとは別です。しかし、品質が悪いと効率を高めることができないので最低限の品質は満たしていると思われます。
安全規格の取得や安全保護回路の搭載はまた別の問題です。必要な電力を生成するのとは別の余計な回路を搭載するほど効率は悪くなり80PLUSを取得しにくくなります。
変換や分岐コネクタも販売されていますが、安定性では電源のケーブルに直接繋がっているのが安心です。特に、ビデオカードの補助電源は大きな電力を取り出すためとても重要になります。
最新のハイエンドのビデオカードでは、PCI-E6ピンの他に8ピンの接続が必要になる場合があります。ハイエンドのビデオカードを使う予定がある場合、PCI-E6ピンと8ピンのコネクタを標準搭載している電源が望ましいです。PCI-E 8ピンの2ピンが着脱式で必要に応じて6ピンまたは繋げて8ピンとして使用するタイプもあります。
SATAであれば、不足した場合は4ピンのペリフェラル(白い大きなコネクタ、青い場合もある)から分岐させてもあまり問題にはなりません。ただし、同じケーブルから取りすぎないように注意してください。
電源は大きな電力を扱いますのでその品質には高いものが求められます。
安売りされる電源には安全保護回路を搭載していないものがあります。その場合、故障しても動き続けてしまい、他のパーツを故障させることや高熱になっても動作してしまい煙が出ることがあります。場合によっては火事にもなりかねないので、そういった製品は選ばないでください。
入力電圧も重要です。海外製の電源はコンセントが115Vに設計されています。日本では100Vですので、設計よりも15Vも低い電気から電圧を取り出すことになってしまいます。また、部屋のコンセントによっては90Vを下回っていることもあります。電源トラブルが起きやすい要因となってしまいますので、日本向けに100V設計した電源が安心です。
海外製の電源は入力電圧(コンセントからの電源)が115V設計の物があります。日本の商用電源はAC100Vですが、時間帯や家電の稼働状況により90Vまで下がることがあります。電源の多くは世界共通で上限は200Vまで対応する物が多いですが、低い電圧では必要な量の電圧を作ることができません。
90V対応モデルでは、入力電圧が90Vでも問題なく動作するように作られています。ただし、変換効率は悪いため、最大容量が若干減少します。90V対応モデルでは容量ギリギリで使用しない限り低電圧による問題は生じません。
安物電源では保護回路が搭載されておらず、また、搭載されていても必要な状況で機能しない場合があります。
異常が生じても電源の動作が停止せずに無理に動作する場合、電圧の異常による他の機器の故障や、電源自身の発火が起きる可能性が高まります。
電源はコンデンサーだけではありません。一部に日本製のコンデンサを搭載していても、品質向上には影響がない、売るためだけの謳い文句になっている場合があります。
基本的に、コンデンサーの品質が高いと寿命が長くなります。
冷却機構も重要です。ファンを搭載しないで静音を謳う製品がありますが、熱設計をまじめに考えないとすぐに電源を発熱で壊すことになります。特に、高熱を発生するCPUを使用していて、その熱が電源に伝わる場合は要注意です。
ファンがCPUの熱を吸い上げるタイプも、CPUの冷却には有効ですが電源の寿命を縮めることになります。
電源のファンは暖まったPCケース内の空気を吸い込み外に排気します。アルミ電解コンデンサーは温度が10度高くなると寿命は半分に、20度高いと半分の半分になってしまいます。PCケースの空気を効率よく交換できるほど電源の寿命も長持ちするようになります。
電源の品質に新しい指標の目安となる80PLUS認証が登場しました。80PLUSは、電源の負荷が20〜100%に於いて、80%以上の高効率電源を意味します。
80PLUSには階級があり20%以上の負荷で、最低80%のノーマル(白)、82%のBRONZE(銅)、85%のSILVER(銀)、87%のGOLD(金)があります。ゴールドでは50%の負荷時に90%のとても高い変換効率を実現しています。
80PLUSでは変換効率が高いため、電源自体の無駄になる消費電力と発熱が少なくなります。負荷が低くても電力のロスが少ないため、実際に必要とされる電力より大きめの電源を使用しても無駄が少なくなります。そのため、600Wを超える大容量電源を選ぶ場合は80PLUSへの対応品を選ぶべきです。
夕飯時など一時的に電圧が低下する場合、ブレーカー落ちや瞬間的に電圧が下がり電気が暗くなる場合、雷の影響を受けやすい地域ではUPSを導入することで入力電圧の不安定を防ぐことができます。UPSは必要なときに瞬時にバッテリー運転に切り替わることで安定した100V電圧を供給します。
APC製なら、電気ノイズの強さ、電圧の上下、停電、雷サージからPCの電源が悪影響を受けるのを防ぐことができます。バッテリーの残り時間などにより自動的にPCを安全にシャットダウンさせることも可能です。UPSは保護したい機器の消費電力に合わせて容量をお選びください。
APC Japan
SFXはMicroATX規格の電源となります。小型のMicroATXやMiniATXのPCケースでは、電源にSFX形状の物でないと取り付けができない場合があります。
ATXは一般的なデスクトップ向けの電源です。
ATXの電源は幅150mmの高さ86mmですが、奥行きは規定されていません。
容量が大きい電源ほど奥行きが長くなりますが、容量は少なくても同じ設計により大きさが同じ場合もあります。電源のスペースが区切られているPCケースでは長さにも注意が必要です。
一般的なPCのATX電源は大きさがほぼ決まっていますが、奥行きは製品によって様々です。容量の大きな電源は奥行きが長くなるので、搭載できるか寸法かをお確かめください。
メーカーPCの場合、自分で交換するとそれ以降のサポートが受けられなくなりますので、メーカーのサポートが必要な場合は、搭載している電源が故障したときは自分で交換せずにメーカー修理に出すようにしてください。電源の容量が足りずに交換する場合は自己責任になります。

一般的なタワータイプのPCケースでは上部の後方に電源が取り付けられます。
大きなファンが付いている場合は、ファンを下向きにしてCPUから熱を吸い上げる方式になります。上に向けてしまうと隙間が少なくなるので充分に空気を吸い込めなくなってしまいます。
電源のファンが前後につている場合は、CPUの熱はケース背面から排気されるので電源がCPUの熱を吸い込みにくくなり、電源の寿命低下がすくなります。PCケースの排気能力が足りないとCPUの熱が溜まりやすくなるので注意が必要です。

P180/P182など下部に電源を取り付けるPCケースもあります。CPUの熱は背面と上面から排気され、電源も高い熱を吸い込まないことで静音と冷却を高める構造です。電源前に12cmファンがあるので、ファン無し電源も使用することができます。
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