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更新:2010/03/13

ディスプレイモニターの基本

概要

 ディスプレイモニターとは映像を映し出す装置です。PC本体のビデオカードや描画機能が作り出した画像を表示します。

 昔は画質重視ならCRT(ブラウン管タイプ)が主流でしたが、現在はプロ用モニターでさえも液晶に置き換わっています。価格も、液晶だから高いということはなくなりました。モニターとしては価格が安くなりすぎており、質の悪さが目立ってくるようになりました。

 モニターには数値で表せるスペックと数値では表せない実際の表示画面があります。スペックの見方はここで解説しますが、それ以外の要素による影響も多いのでできればお店で実際に確認することをおすすめします。

 お店で確認するときはお店の環境も考慮する必要があります。例えば、電気の明るさや位置により光の反射具合やモニターの明るさが確認できます。お店の電気はかなり明るいのでモニターの明るさが足りなく感じるかもしれませんが、実際の使用ではモニターが明るすぎて輝度を落として使用することが多いかと思います。当然、モニターの設定も重要です。設定が変われば見え方が大きく異なってしまいますので、お店で確認するときは設定も見せて貰いましょう。分からない場合は初期設定に変更するのがベターです。また、信号の分配による劣化などモニターに出力される映像自体の問題もあります。お店で見比べると、鮮やかに見えるものを選びがちですが、実際に常用する場合不自然さが目立ってしまうことがあります。

 また、お店で見ても直接確認できない隠れた良さというものもあります。それについてはメーカーのサイトの商品の特徴に書かれていることが多いので、必ず目を通しましょう。

よくある疑問

16:9液晶は動画に最適?
現在、テレビと共通化できる液晶パネルを使った16:9モデルが増えており、動画に最適と謳われております。16:10モデルではハイビジョン映像のアスペクト比固定の拡大表示やドット・バイ・ドット表示に於いて上下に何も表示しないスペースが生じてしまいます。けれども、あくまでもハイビジョンを見るためのテレビやAV機器として使うのでなければ、上下のデスクトップスペースが狭くなることに注意してください。また、液晶の広さが16:9なだけで、動画再生用の機能を搭載せずに動画に最適と謳っている製品もありますのでご注意ください。良いモニターの16:10WUXGAは16:9フルHDの上位モデルです。しかし、低価格モニターの16:10はドット・バイ・ドットに対応してないために16:9のコンテンツを正しく表示できない(縦に引き延ばされてしまう)ものがあります。

白が黄色く見える
白色の色味は色温度で決まります。モニターの設定で色温度を紙の白と同じ色味になるように変更してみてください。黄色く見える場合は色温度を高く、青く見える場合は低く設定します。sRGBの色温度の標準は6500Kと低いため、環境光に青系の蛍光灯を使用していると黄色く感じてしまう原因となります。また、写真の白の色味はカメラ側でのホワイトバランス設定の影響があります。その場合は写真編集ソフトで写真の色温度を変更してみてください。

HDMIで正しく表示されない
HDMIはAV機器の解像度に対応しており、PC独自の解像度に対応できていない場合があります。PCの接続が非サポートとなっている場合がありますのでご注意ください。解像度を1920x1080等、AV機器のもつ解像度に合わせると表示可能な場合があります。また、HDMIは映像以外の信号も同時に扱うため、DVI-DとHDMIの変換接続では不具合が生じることがあります。

目が疲れる
明るさなどを環境に合わせて調整することで緩和することができます。詳しくはこちら

DVDをフルスクリーンで見ると汚い
DVDの解像度は720x576または720x480の情報しかありません。ディスプレイは15型で1024x768~24型ワイドで1920x1200が主流です。フルスクリーン表示すると小さな映像を大きく引き延ばして表示するため、ギザギザが目立つ、輪郭がボケるなど見にくい映像になってしまいます。BDやHD DVDでは、映像が1920x1200の情報があるため、高解像度のディスプレイで綺麗に観賞することができます。これはテレビでも同じ事で、フルハイビジョンテレビでアナログ放送やDVDを見ると引き延ばし表示になるため、ハイビジョンではない大型テレビで表示するよりも汚く感じます。PowerDVDなど高画質化機能のある再生ソフトを使うことで改善する場合があります。

評判の良いディスプレイなのに文字や画像がボケて見える
映像の善し悪しはディスプレイだけでなく、ビデオカードによっても変わります。組み合わせが同じでも、アナログ接続とデジタル接続でも変わります。液晶の場合は異なる解像度のフルスクリーンでは画素に合わない分が滲みとして見えてしまうことがあります。液晶パネルの解像度とPCの出力する解像度を合わせてデジタルで接続することで輪郭はクッキリと表示されます。

ゲームで表示が遅い
主にディスプレイではなくパソコンの性能不足です。 TN液晶パネルは黒 →白→黒の応答が速いですが、中間の階調がかなり遅くなるものがあります。操作したときの反応にずれが生じる場合は応答速度とは別の部分で発生している場合があります。

AdobeRGBとsRGB

sRGBやAdobeRGBは表現できる色空間を表します。AdobeRGBでは深い緑と深い赤や爽やかな青色などsRGBでは表現できなかった広い範囲の色を表現できます。AdobeRGBでも実際に識別できる色域よりも狭いですが、ほぼ違和感を感じなくなる色域をサポートしています。

現在普及しているモニターの多くはsRGB対応で、最先端のモニターではAdobeRGB対応に変化しつつあります。

AdobeRGBの広い色空間を完全に再現するのは難しく、対応しているモニターではAdobeRGB比○○%やAdobeRGBカバー率○○%と表記されます。両者の違いは、AdobeRGB比はAdobeRGBの色空間からずれている領域も数値に含まれ、AdobeRGBカバー率ではAdobeRGBの領域をどこまで再現できるかを表す違いがあります。

AdobeRGBはプリンターが印刷できる色空間に近く、モニターでの編集と印刷物の色合いの差(印刷ではモニターよりも広い範囲を印刷できますが、モニターではその色空間を表示することができなかった。特に風景写真はモニターで見るよりも印刷した方が深みがあり綺麗に見える)を埋めるべくして登場しています。対応した機器間で、色(写真など画像)の保存、表示、印刷までを統一することができます。

AdobeRGB比100%はAdobeRGBを100%再現できるとは限らないことに注意が必要です。AdobeRGBカバー率100%は100%の色空間を再現することができます。AdobeRGBの比率では対応していない部分を含めた数字の誤魔化しができ、カバー率では誤魔化しのできない対応力を表しています。一般的にはArobeRGB比で表記され、ナナオではカバー率で表記されています。(ナナオのAdobeRGB対応モニターは、EIZO Flexscan SXシリーズとColorEdgeシリーズ)

また、AdobeRGB対応モニターではsRGBを完全再現することができない(モニターの色空間を制御できない)場合があります。こちらも、ナナオではAdobeRGBとsRGBの色空間の切り替えが可能になっており、どちらも正しい色で表示することができます。

デジタルカメラで色空間をAdobeRGBに設定して撮影した場合、AdobeRGBに対応していない(sRGBの)モニターでは色合いが異なって見えてしまうことに注意してください。Photoshop等でAdobeRGBの元画像をsRGBに変換(sRGBからはみ出す色情報をsRGBの範囲内に収める)することで解消されます。

明るさとホワイトバランス

モニターのスペックで公開される明るさは輝度で表されますが、最大輝度で使うことは少ないことに注意してください。モニターにより、輝度の変更に制限が大きい場合があります。

あまり明るさを下げることができないモニターや明るさを変更すると色合いも崩れてしまうもの、コントラスト50%が標準で、高くすると白くなってしまう、低くするとグレーになってしまうものも中にはあります。

色合いを整えるのに、どのモニターでもキャリブレーションが可能な周辺機器が発売されていますが、そのモニターの表示できる範囲でしか調整できないことに注意してください。

プリンターとの色合わせに於いても、プリンターではなくモニターでの表示が正しく行えていない場合があります。モニターでの明るさ・コントラストの変更や色温度の設定を変えるなども試してみてください。プリンターに詰め替えインクを使用している場合は本来の色とは違っていることが多いですので、画質を重視するなら純正品をお使いください。

色合いがおかしく感じる理由に、環境の色温度とモニターの色温度が合っていないことがあります。色温度が変更可能なモニターでは変更してみてください。白が黄色く見える場合は色温度が低すぎ、青く見える場合は高すぎていることがあります。

電球や太陽光は色温度が低く、蛍光灯や曇り空では高くなりますので、モニターも同じ色温度に合わせることで白を白く見ることができます。(低価格モニターに多い色ズレを起こしているモニターの場合は修正できません)

目が疲れる場合

環境に合わせた明るさに設定してください。これだけでかなり緩和されます。

反射が激しい場合や、モニターの後ろが明るい場合はモニターの明るさは明るくし、薄暗い場合は明るさを下げます。安いモニターでは明るさをほとんど下げられない場合や、明るさを変えると見え方が大きく崩れてしまうモニターもあります。

高さや向きを見やすい位置に調整してください。肩から首の血行を悪くさせないことで目の負担も和らげることができます。

高価なモニターでも液晶パネルの種類によりギラギラ感が目立ってしまうモニターがあります。輝度とコントラストが高いモニターがこの傾向にあるようです。そのようなモニターでも輝度とコントラストを低くすると疲れが緩和されます。

目の疲れには首の血行も影響します。首が疲れにくい位置に調整できるスタンドのものを使用したり、休憩時に大きく首を回しましょう。

モニターと目の疲れ

デジタルとアナログについて

 液晶モニターにはデジタル接続とアナログ接続が存在します。同様にパソコン側にもデジタルとアナログが存在します。

 アナログではノイズの影響を受けてしまい、ビデオカードの性能やケーブルの品質の影響により映像がぼやけやすくなりますが、デジタルではノイズの影響を受けないためにクッキリ表示されます。

 デジタルに対応している端子はDVI-DとDVI-Iです。DVI-Iはデジタルとアナログの両方に対応しており、デジタルとして接続するときはDVI-Dと同じと思ってください。DVIデジタルケーブルで接続します。

 アナログに対応している端子はD-Sub 15ピン(アナログRGBやVGAと呼ぶこともある)とDVI-Iです。DVI-IとD-Sub 15ピンの接続には変換ケーブルを使用します。D-Sub15ピンにはミニと2列タイプがありますので形状に注意してください。

モニターの相性問題について

多くのモニターがPCとHDMIで接続することを保証していません。HDMIは映像の他に音声信号なども一緒に入出力される規格のため、仕様に幅があり規格通りに作られていても相性が発生しやすいようです。AV機器のHDMIをDVI-Dに変換してPCモニターに接続することもサポートされていません。(試せば動作する場合もありますがトラブルが起きてもサポート対象外となります)

HDMI変換型のビデオカード(PC出力)とモニターのDVI-D接続でも相性が発生する場合があります。特に、HDCP非対応の古いモニターで発生しやすいようです。

HDCP非対応のモニターで、ブルーレイや地上デジタル放送などが表示できないのは不具合ではありません。保護された映像などコンテンツには信号をコピーさせないためのHDCPに対応している必要があります。

一部のビデオカードとモニターを組み合わせた場合に、Windowsが起動してグラフィックドライバが読み込まれるまでデジタル映像が表示されない場合があります。この場合、モニターとビデオカードが2系統の入出力コネクタがある場合、デジタル(DVI-D)とアナログ(D-Sub)の両方を接続することで、起動するまで(BIOS画面など)はアナログで表示され、起動後はデジタルで表示させることが可能になります。Windows起動後はデュアルモニターとして認識されますので、ビデオカードの設定でアナログ接続側を無効に設定します。

アナログのD-Sub出力では相性は滅多にありません。

ドット不良(画素欠け)について

液晶ではサイズが大きくなるほどドット不良が起こりやすくなります。ドット不良とは特定の画素(ドット)で特定の色が点灯しないまたは常に点灯してしまう不良画素のことです。

正常に動作しない不良画素ではありますが、液晶の製造技術上、完全になくすことはできず、製造過程では問題が生じなくても、流通過程で生じてしまうことがあります。使用中に発生したり、反対に直ってしまうこともあるようです。

液晶パネルの性質上、ドット不良は回避できない問題のため、多少のドット不良は不良扱いにしません。分かる方には、トリニトロンCRTのダンパー線の方がよほど目障りに感じていたと思います。もし、不良扱いにしてしまうと、液晶パネルの価格が数倍に跳ね上がってしまいます。デジカメなどの大きくて少ない液晶パネルでは目立ってしまいますが、PCディスプレイのドット不良はよく目を懲らさないと分からない程度のものですので、通常は不良品として交換されません。この問題は、液晶に代わる次世代パネル技術に期待しましょう。

液晶とCRTの違い

 液晶では画素の大きさが固定であり必然的に解像度も固定されます。低解像度でのフルスクリーン表示は複数の画素を一纏めにして発光しているので画像が荒くなります。CRTでは柔軟に解像度の調整が可能です。

 液晶の高画質化と低価格化が進んだことから現在はCRTの多くが生産終了になっています。

液晶の特徴

 ・薄くて軽い
・消費電力が少ない
・チラツキが無く目に優しい
・画素数=解像度となり、推奨解像度以外では正しく表示できない
・画素による発色なので滑らかさに欠ける。その代わりにクッキリ感がある。
・正面に発光するため、斜めなどから見ると色が崩れたり見えなくなる。(この問題は大幅に改善済み)

CRTの特徴

 ・大きくて重い
・消費電力が大きい
・常に画面を上から順番に書き換える必要があり、チラツキが発生する。(書き換え回数であるリフレッシュレートを上げれば目でチラツキの判別ができなくなる)
・ブラウン管で光を伸ばして調節するので、多くの解像度に柔軟に対応できる。
・光が拡散するので斜めからでも判別できる。
・光の三原色であるRGB各色の強さを調整して色合わせが行いやすい。
・光を曲げて映すため、色ずれやにじみなどが発生しやすい。

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